澄み切った冬の夜空から
美しい月がこちらを見ていた。

視力が益々落ちた目にも、珍しくクッキリと
鮮明な外縁を確認出来た。

何才の頃だか逆算するのもしんどい。
恐らく小学生の低学年頃だったのか、
それよりも更に小さかったか。
病気は相当進行していたと思うが
母親は生存していた。。。自力で歩行もしていた。
しかし身体の自由は大分奪われ
我が娘が叔母から虐待に遭っている姿を
目の当たりにしていた頃。

母は歩行可能だった。。。
と言う事は更に幼少の頃かも知れない。

母親は知力も何もかも正常故、辛かったろう。。。
しかしその時点での母親は
鬼畜の様な叔母や、直接的に暴力の意味に於き、だが
危害は加えては来ていない祖母に立ち向かえなかった。

父親はその頃、母親が倒れた後の
取締役となり忙殺されていた為、真夜中に
ならなければ帰らなかったと思う。

家の二階、滅多に使われなかった父親の部屋
和室側の窓辺に病気の母親、父親と自分の3人で
新し物好きな父親が購入したらしい
双眼鏡で、月を見た。
順番だった。。。
(因みに虐待叔母と祖母は一階の部屋にいる)

「こういう事があったな、っていつか思い出すよ」
父親が言った。

ずっと意味が判らなかった。

独りぼっち、空を見上げ
昔の記憶と共に「月の想い出」の意味が解った
気がした。