老犬3

日本語は本当に美しいと思う。
英語にはシックリ来る言葉が無い様に
感じる。inspire、touchin'。。。
どうもイマイチ違う気がする。

「琴線に触れる」
という言葉、肯定的な意味合いが大きい事を
鑑みると、少し相違する部分も否めないのだが
敢えて琴線に触れると表現をしてみる。
実際には好ましく無い事、好ましい事、
そのどちらにも属さない内容。。。
其々琴線に触れる胸にグッと来る瞬間、
事柄。

全てイヌに纏わる。

---何故なのか。。。自分でも不思議だ---

誰の目にも老犬
(或いは今考えれば、もしかすると何等の疾患
の場合も大いにあったのかも知れない)
と判る程痩せ細り、ヨタヨタと歩く仔が
明らかに飼い主が編んだであろう
少しブカブカで網目の粗いニット、毛糸を羽織り
傾き乍ら今にも倒れそうにゆっくりと
辿々しく頼り無さ気に、
しかし
何処か誇らしさを失わず
気高さを背中に漂わせ、
老犬としての矜持を持ち、一歩一歩慎重に大地を踏みしめ
歩く姿を目の当たりにする。

老犬2


この光景は、コロコロとし屈託無く
可愛らしい尻尾を高速回転させる幼犬の
何億倍もの破壊力が有る。

それは中型の雑種に対し特に深く感じてしまう。。。

ゆきが自分の元に来てくれて以降
その様に感じる様になったのであれば
彼女が雑種の中型犬である事から
その姿を重ね合わせての事かと
解せる気もする。
だが、ゆきと知り合う遥か以前からその感覚を
強く持って居る。
「寒かろう」というその仔への飼い主の愛情を
感じる故なのか、必死で歩こうとする姿に
感動する為か、謎中の謎。。。

当に、ゆきが今その状態だが
それは他所様の仔を見る目とは大きく相違する。
客観的に今のゆきを眺める余裕は全く無い。。。

だがこの情景は、未だに。。。
否益々、自分の琴線に触れてしまう事の
一つとなって居る。
 
老犬


そして
この言葉;琴線;が適切でないとは思うが
感動でもなく、悲しみでもない。
感慨深い、切ない、苦しさ。。。
どれも当て嵌らない。
肯定否定的、楽観悲観的、しっくり来ない内容
ではあるが、否強いて言えば「切なさ」
が当て嵌るのだろうか。

飼育放棄をされた仔のレスキューに入る。
そして場合に因りまず、シャンプーをする。
多頭崩壊等で保護される仔等は
常に控えめに生きて来て居る場合が多い故か
大人しく健気な仔等が多い様に感じる。
(まぁ、後々其々の性格が発揮され
自然な姿となって行くが)

或レスキュー現場にて
中型雑種の彼等を、真っ先にシャンプーする機会が
あった。ホームセンターのセルフシャワーにて。
そこはペット用品が溢れ、生体販売の直ぐ隣の隅一角に
シャンプーブースが設けられて居た。
体を固く丸め、小刻みに震える彼等に
お湯を掛ける。
終始大人しく、騒ぐ術も知らない仔等。
彼等を洗わせて貰って居ると
イヤでも、生体販売のアクリルケースが視界に映ってしまう。

ガラス張りドア一枚を隔てたその後ろでは
沢山の客に飛びっきりの笑顔で屈託無く
無心にアピールをする幼犬達が重なる。

溢れ出る熱いモノを禁じ得なかった。
悲しい涙、切ない涙?解らなかったが
とにかく後から後から涙が溢れ出る。

片やケース越しに見る客へ
元気にアピールする幼犬達。。。
片や、ろくに食事も与えられずガリガリに
痩せ細った体でガタガタ震える成犬。

このギャップが表し様の無い感情を
呼び起こす。

恐らくこれはニンゲンの勝手が生み出す矛盾に
消化し切れない歯痒い思いが越流し
止まらなくなった為かも知れないと今、思う。

どんどん増やし若く新しい仔を流通に乗せる。
その陰では、人知れず淘汰されてしまう仔等の
何と多い事か。相違する意味での光と影。

選りに選りその2組み;その場にてスポットライトを
浴びる仔等vs食うか食わずの何年かを悲惨な状況の中
生き抜いて来た仔等;が
同時期に脳裏に焼き付いてしまった。

帰路、他ボランティアの人々にこの
感情を話すも、上手く伝えられなかった。

尤も、そのアクリルケースに入れられた
可愛らしい幼犬達も、ニンゲンの被害者
である事に変わりは無い。
その幼犬等の親を思うと、胸が張り裂ける。
数年後も彼等が暖かな家族の元
愛情を注がれ、生活出来て居る事を
願って止まない。

何故、生体を販売し金儲けをするのだろう。
もういい加減に止めれば良い。
残念乍ら需要が有る為、これからも
被害犬達は溢れ返る。
我々の目に触れない場所で数え切れない仔達が
淘汰させられて居る。
。。。餓死。。。という像で。。。

そして日本は100年経っても
生体販売は無くならない。
この国の贖罪故。。。

---閑話休題---

「雑種中型、老犬、放浪放棄犬」
これがどうしても琴線に触れ、
心に染みてしまう。。。と
改めて気付いた今日此の頃。

この近所にて、老犬らしい仔達と会う事は無い。
居るのかも知れないがテリア雑種リュウ君、
社交場近くのコロ兄、マンションの白雑種モモ
が旅立ってしまって以降
誰も居なくなった。

或方が送って下さったご実家の老犬さん画像。
可愛くて可愛くて可愛くて堪らない。
又、グッと来てしまった。
円な瞳から幸福そうな輝きを伺う事が出来る。
イヌの幸せ等、ニンゲンが勝手に作り上げるモノ。
由って実際にはその様な概念等は無いだろう。
だが敢えて言えば、
この仔は、理屈薀蓄云々差し引いても
本当に幸せそうに見える。

image1 (1)
何か匂いがするのかな?

image1 (2)
暖かそうなジャケットを羽織り
土の香りも確認して居るの?

image1
ゆきと同じだ。
顔まで被さってしまうのだろう、フードが
程好く折ってある。この折具合が
丁度首も保温出来る。
お尻もスッポリと隠れ、暖かそうだ。

image2 (1)
老犬独特の眼差し。。。
ゆきもこの様な表情をする事が有る。
愛すべき円な瞳。

image2
車移動中なんだな。

image3
自分の脚で大地の落ち葉を踏み
カシャカシャ音はしただろうか。
広そうな公園で、嬉しかったか。
嗚呼、抱きしめたい仔。。。

老犬はなんて愛おしく、可愛いのだろう。
今まで生きて来た十数年間分の思いや経験を
胸に沢山詰め込み、家族と共に
過ごして居るのだろう。

全ての老犬がその最期を暖かな中で
迎えられます様。。。
年を取った、世話が大変といった理由で
放棄される事が無い様。。。

愛おしい。本当に愛おしい。
この画像を見るだけで瞼全体が熱さで満たされる。

可能であれば。。。本当に唯の希望だが
出来れば。。。10才以上の仔等を
引き取れたなら、どんなに自分が幸せだろうか。
飽くまで自分が。。。